ギリシャ神話の最高神ゼウスは、クレタ島に隠れ住んでいた子供時代、妖精の姉妹によって山羊の乳とハチミツで育てられたそうです。
姉のアマルティアが山羊の乳で育て、妹のメリッサがハチミツで育てました。
(ギリシャ語において、アルマティアは山羊、メリッサは蜜蜂といいう意味)
おそらく、太古の昔において、栄養学的に最高の育てられ方だったのでしょう。このようにして育てられたゼウスは、父であるクロノスを打倒して、神々の王の座に着きます。
(ハチミツを乳幼児に与えるのは、現代では『乳児ボツリヌス症』にかかる危険があるため、禁止されています)
伝説によると、ゼウスはクレタ島で一番高いイディ山の洞窟で生まれたとされており、彼はこの山で採れるハチミツが大好物だったそうです。生まれた場所がハチミツの産地だったというのは、彼にとってかなり幸運なことだったのでしょうね。
ゼウスの娘であるアルテミスは、蜜蜂の象徴ともされています。メリッサ(蜜蜂)は女性司祭者の称号でもありました。
またゼウスの孫、太陽神アポロンの息子は養蜂神アリスタイオスでした。
伝説では、アリスタイオスが人間に養蜂を教えたとされています。
太古の昔、人々は、貴重な蜂蜜は大気中から露のように生まれる神の恵みだと信じていたのです。
古代ギリシャの慣習では、蜂蜜は神様と亡くなった人々の魂に捧げられました。
ミードと呼ばれた蜂蜜のお酒は神様の飲み物と考えられていました。
また、古代ギリシアの哲学者、アリストテレスは著書『動物誌』にて、養蜂について記述しています。そこでは、ミツバチが集める蜜は花の分泌物ではなく、花の中にたまった露であると述べています。