ミツバチと人間の付き合いは、農耕や牧畜が発明された新石器時代ころから始まっていたようです。
紀元前6000年頃に描かれたスペインのアラーニャの洞窟の壁画には、女性が高い崖で蜂の巣を採集しようと手を伸ばした絵があります。
彼女の周りには、大きく描かれたミツバチが6匹飛んでおり、ハチミツを手に入れるために危険を冒さなくてならなかったことを物語っています。
このようにして手に入れたハチミツは、蜜酒を造るために使われていたのではないかと、考えられています。ハチミツを発酵させて作る蜂蜜酒(ミード)は、『人類最古のアルコール』と言われており、ヨーロッパで古代から愛飲されてきたことが知られています。
メソポタミア文明の象形文字にもハチミツに関することがらが記載されています。
現在のトルコ、カッパドキア近くの遺跡からハチミツに関する洞窟壁画が発見され、紀元前6500年前のものと言われています。
南イングランドの遺跡から出土した紀元前2500年頃の壺の中に、ハチミツが入れられていた痕跡が発見されています。このことからでしょうか、英語には「ハチミツの歴史は人類の歴史」という言葉があります。
また、紀元前2000年頃に作られた古代パレスチナ北部サマリナの石版には、皮膚病の治療薬としてハチミツを使う方法が記されています。すでに紀元前2000年頃には、食用としてだけでなく、薬としてもハチミツを使う方法が発見発見されていたのです。
ハチミツと人間の関わりは、かなり古いようです。
太古の人間にとって、ハチミツは、なかなか手に入らない貴重な甘味であり、栄養源であったのです。