メキシコやブラジルなどでは古代インディオの時代から、蜂蜜や蜂蜜酒は宗教的な儀式に欠かせないものでした。
アメリカ大陸に土着のミツバチ(ハリナシバチ)がいたのです。
マヤの伝承では、ミツバチは地の中心で生まれ、火山の火の粉にそっくりで、金色で熱く、人間を無知から目覚めさせるために地上に遣わされたのだとされています。
北アメリカに上っても先住民族シャイアン族の間には「はじめの人間は野生の蜜と果実を食べて、飢えを知らなかった」という伝説が残っています。
さらに北に住むカナディアンインディアンは、夏の間に採れたラズベリーをはちみつに浸けて長い冬の保存食にしていました。
16世紀、スペイン人の征服者達は、メキシコや中央アメリカの原住民が養蜂を発展させていることを知って、驚いたようです。
ヨーロッパからやってきた開拓者達は、1638年ごろセイヨウミツバチをニューイングランド地方(アメリカ北東部)に持ち込みました。
北アメリカの原住民は、彼らの連れてきたミツバチを「白人のハエ」と呼んだそうです。
開拓者達は、蜂蜜を、食べ物や飲み物の下ごしらえや接着剤の材料として、また果物の保存に使用しました。
家具用の研磨剤や光沢剤をつくるためにも利用されました。