アカシア花はちみつはレンゲ花はちみつに続いて日本では人気が高く、ハチミツの女王とも呼ばれています。
しかし、一般的にアカシアの蜂蜜として売られているものは、ニセアカシアの蜂蜜であることをご存じでしょうか?
頭にニセが付くと、なにかアカシアより劣った蜜であるように感じますが、実はそんなことはありません。
コレこそが日本で好まれてきたハチミツの女王なのです。
ニセアカシアは北アメリカ原産の樹木で、日本には明治の始めに導入されました。
成長が大変早く花も美しいので、公園や街路樹によく植えられるほか、荒廃した山地や砂丘の緑化によく使われています。二酸化炭素の吸収能力が非常に高いことでも知られ、大気汚染の抑制、大気の浄化にも役立っています。
日本に持ち込まれたころはアカシアと呼んでいましたが、その後、本当のアカシアの仲間が導入されるようになり、区別をはっきりさせるため、種名を日本語になおして、ニセアカシアと呼ぶようになりました。
「ニセ」という語をきらい、托葉の変化したトゲが目立つという特徴をとって、ハリエンジュという名もついています。
ニセアカシアの花からは、日本人好みの上質な蜜が採れ、国産蜂蜜の有用な蜜源植物です。
現在このニセアカシアは、「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律)」が、平成16年6月2日に制定されたことで、他の植物に害を及ぼす恐れのある植物として、規制される動きがあります。
ニセアカシアが、規制の対象になりますと、主要な蜜源を失い、多くの養蜂家が、その経営基盤を失うことになり、国産蜂蜜の安定供給ができなくなくなります。
これによって、廃業する養蜂家が増えてしまうということが、予想されています。
現在、国内に流通している蜂蜜のうち、国内産はわずか5%です。
このような生産状況のなかで、国内生産量のほぼ半分に相当する蜜源がニセアカシアなのです。
ニセアカシアがなくなってしまうと、ハチミツの自給率の低下は必至は目に見えています。
ニセアカシアは危険な外来種として大がかりな伐採がされており、もしかすると、近い将来、国産のアカシア蜂蜜は幻のモノとなってしまうかもしれません。
危機感を覚えた日本養蜂協会の有志たちは光源寺岑生(こうげんじみねお)さんを代表として「アカシアの木を守る会」を立ち上げ、ニセアカシアを要注意外来生物から外すよう求めています。